A. ウーン、私も先生と同じ呼び方をしているので・・・。 大学でもその方が多いのではないでしょうか。 教科書はある規約に基づいて表記していますが、両方の呼び方を書いたほうがいいのではないかと思っています。
「メートル パー 秒2乗」や「メートル 毎 秒2乗」などもあり、あまりこだわらなくてよいでしょう。
「秒2乗」は「平方秒」と言い替えできますし、発音も「メーター」や「セコンド」などいろいろです。
ちなみに、英語では meter per second squared か meter per square second です。
長年に渡って教科書が推奨(強制?)してきた「メートル毎秒毎秒」が浸透しないのは、英語に対応していないことに加え、「毎秒毎秒」という繰り返しがスマートさを欠くからか と思います。
A. まずは、「もしも摩擦がなかったら、どちらへ動くのか」と考え、その逆向きと判断します (エッセンス(上)p22)。それでも右なのか左なのか、分からないケースはあります。 そのときは「右向き F 」と仮定します。つり合い式を解いた結果、F が正なら、それで OK F が負なら、左向きと判断します。大きさは|F|で、計算のし直しは不要です。
はじめに「左向き F 」でもいいですが、仮定して進み、答えの符号で判断する のは、いろいろなケースで出会います。 衝突問題での速度の仮定はその典型ですね。座標軸があれば、正の向きに仮定するのが分かりやすいでしょう。
A. 出題者は力の向きを尋ねたい場合には、そのように指示します。
指示がない場合は「大きさ」だけと思ってください。 力の向きが自明に近い場合にそうなることが多く、垂直抗力や張力などが該当します。もちろん、力の向きも答えていいです。
教科書や模試では「…力の大きさ」とていねいに書いていますが、入試では必ずしもそうではありません。
A. 運動方程式で攻めるか、保存則で攻めるかの二大戦略 です。
時間に関する話は運動方程式ですね。力を確認し、加速度を求め、等加速度運動の公式を用いて解決していきます。時々刻々の運動の詳細が分かります。
時間が絡まなかったり、力が変わっていくときには保存則です。曲線運動もそうですが、運動方程式で扱いきれない状況でも活躍してくれます。
「 定積は Q = n CV 儺、 定圧も Q = n CP 儺 」と セットにしておいてはどうでしょうか。
単原子なら、 CV=3/2・R 、 CP=5/2・R です。
そうでなければ、 CV と与えられると思います。 CP= CV + R の関係に注意してください。
ところで、 CP のほうが CV より大きい理由はいいですか? 論述問題でよく問われますよ。
Q3. 「エッセンス」で学びました。 定圧の場合は、気体が膨張して仕事をしているからです。
A. 内部エネルギー U は温度で決まり、温度を1K 上げるときの増加分 儷 は定積でも定圧でも同じという認識がベースにあってのことですね。 第1法則によって、定圧の方が膨張での仕事の分だけより多くの熱量が必要になるのでした。
内部エネルギーは絶対温度に比例 は大切です。 式で表せば U =αnRT のようになります。 単原子分子なら、α = 3/2 ですね。
AddQ4. 定積と定圧の熱量について、かなり分かってきました。 ただ、話の流れからすると、 CP= CV + R の R が P儼 に該当するように思えますが・・・一致していないのは?
A. 状態方程式 P V = n R T から、圧力 P が一定のときは V は T に比例します。
すると、 P V = n R 儺 (※)
左辺に注目。 P V は定圧での仕事! それは n R 儺 に等しいのです。
さて、モル比熱は、1モルの温度を1K 上げるときの話です。 n=1 と 儺 =1
したがって、 P V はRに等しいのです。
「定圧では 仕事= P V = n R 儺 」 直ぐに出せるようにしておきたい関係です。 定圧では という制限は忘れないように。
A. その実感はもっともですね。力学・波動に比べて電気は崖に出会うかのごとき段差があります。 3次元での認識が重視されることに加えて、正・負の電荷の存在が事態を複雑化しています。
電気分野は 静電気(電場と電位)・コンデンサー・直流回路に分かれ、この順に習うのですが、実は理解しづらい順です。初めの方ほど理論的で、抽象性が色濃く、3次元的なのです。ガウスの法則はその最たるものでしょう。
今は 静電気力による力学を扱いたい のです。 電場 E は静電気力 F 一歩手前の量です。電荷をqとして、F = q E これで静電気力が扱えます。E は +1〔C〕にはたらく力です。 次に用意したいのが静電気力の位置エネルギー U で、電位を V として、U = q V と表せます。 電位は位置エネルギー一歩手前の量で、+1〔C〕に対する位置エネルギーです。
重力や弾性力に比べて静電気力は大きさも向きも複雑に変わるので、取り合えず電場 E と電位 V に代表してもらって、その実態は状況に応じて決めることになります。 高校では、一様電場と点電荷の2つのケースが扱われます。
一様電場は静電気力が一定なので重力と似ていて、点電荷による静電気力はクーロンの法則にしたがうので、万有引力に似ています。
q E は力のつり合いや運動方程式で用い、電場中の運動ではエネルギー保存則、 m v2 /2 + q V = 一定 で 電位 V が輝きます。
静電気力による力学と言いましたが、「コンデンサー」からは純粋に電気の話に入ります。 でも、電場 E と電位 V は電磁気全体を通して活躍します。
Q.F = q E と U = q V は 無条件で成り立つもので、 E = kQ / r2 と V = kQ / r は「点電荷 Q 」に対する式なんですね。
A. その通りですが、 前者は 電荷 q の帯電体に働く力 F とそれがもつ位置エネルギー U の話で、後者は 点電荷 Q が周りにつくる電場 E と電位 V の話です。 内容がまるで違いますからね。
電位はスカラーで、電位に関する U = qV と V = kQ/r は符号付き であることにも注意してください。 電場はベクトルで、電場に関する F = qE と E = kQ/r2 は 大きさ、つまり、絶対値の関係です。
電磁気の公式の大半は絶対値の関係です。 電磁誘導の法則や自己・相互誘導でマイナスを用意するのは、誘導起電力の向きを表すための便宜的なものです。
純粋な意味での符号付き公式は、U =qV と V = kQ/r に限られます。 V は電位ですが、この2つ以外の公式で登場する V は電位差(電圧)です。 電位は ある点での値であり、電位差は 2点間でのもの です。
あと ひとこと。 電位は、0とする基準が必要 で、 V = kQ/r の基準は 無限遠点です。 忘れないように。
Q. 点電荷の電位の公式 V = kQ/r で Q には符号が含まれるというのは分かります。しかし、いくつかの点電荷があるときに、電位は足し算 でいいという理由が分かりません。
たとえば、+Q1 と−Q2 があり、それぞれからr1 、r2 離れた点 P の電位が V = kQ1 /r1 + k(−Q2 )/r2 と、和になる理由は何でしょうか ?
A. 電位は位置エネルギーにつながるものでした。より正確には、+1C のもつ(静電気力による)位置エネルギーです。 位置エネルギーは足し算ができます。力学でも、重力のもとでばねが伸び縮みしていれば、mgh+kx2/2 としていたでしょ。 異種の位置エネルギーでさえ、足し算できるのです。 同種の kQ/r ができないわけがありません!
掛け算型でも V = I R とはしたくありません。 先生の中でもそう書く人がかなりいますが、数学で y = a x と書くように、定数は前に出したいのです。 R が定数で、I が変数です(ふつうは)。 何が定数で、何が変数か の認識はとても大切 です。
Q. 電磁誘導についてですが、 導体棒が 磁場中を速さ v で動くときの 誘導起電力 V の公式で V = v B l があります (B:磁束密度、l:棒の長さ)。 学校では、ファラデーの電磁誘導の法則ですべて解決できるので、公式などいらないと教わりましたが、「エッセンス」では用いていますね。
A. 確かに、電磁誘導の法則だけですむ――というのは物理学としては正しいですし、その認識は大切でしょう。 ただ、入試では限られた時間内に解答しなければなりません。 V = v B l は公式、つまり公(おおやけ)に認められたものですから、利用しない手はありません。 誘導起電力の向きも即断 できます。
電磁誘導の法則から進むのは、100m競走で、10m後ろからスタートするようなものです。
V = v B l の導出は 電磁誘導の法則以外に、電子に働くローレンツ力から理解できることも、この公式を重んじたい大きな理由です。 そして、回路のどこがどのような「電池」になっているのかを明確にしてくれます。
電池のする仕事 Q V(単位時間当たりなら電池の供給電力 V I )も正と仮定して保存則を書くことが多いですね。 正電荷が電池の負極側から正極側に通るとき、あるいは電流が正極から流れ出るときが正です。 電池が回路にエネルギーを供給している状況です。
( Q :電池を通過した電気量、 V :電池の起電力、 I :電流 )