太陽が真上に見える場所と時期



 地球は地軸の向きを保ったまま太陽の周りを公転する。 四季の訪れは地軸の傾きによる ことはよく知られている。 地面を照らす太陽の高度(地平からの角度)に応じて単位面積あたりで受けるエネルギー量が変わるからである。


 地球を止めて考えてみると、太陽が公転面内で地球の周りを回ることになる。
 図はその様子を表しており、公転面は地球の中心を通り、画面に垂直になっている。 太陽と地球の中心を結ぶ直線に注目したい。 それと地球の表面の交点では、太陽が真上に来るように見えている。 交点に人を立たせてみれば分かりやすい。 夏至などでの交点を赤丸で示す。 青矢印は太陽光線に対応する。




 図では、たとえば夏至は一点で表されているが、地球が自転するので、北回帰線上は同じように太陽が真上に来る。 もちろん、南中時、昼の12時にである。
 冬至には南回帰線上で、春分には赤道上で太陽が真上に来る。 冬至から春分を経て夏至まで、交点の緯度は南緯 23.4° から 0° を経て北緯 23.4° へと移り変わっていく。 その後は秋分を経て冬至に戻る。 赤点線は交点の軌跡であり、図では直線に見えているが、地表に沿った円である
 
 結局、北緯 23.4°〜南緯 23.4° の範囲なら どこでも 太陽が真上に来ることがあることになる。 そして、ふつうは年に二度起こる。 ある緯度に注目したとき、赤点線が示す円の手前と奥の2点がある。 たとえば、北緯 23° だと、夏至の少し前と、少し後に起こる。 緯度 0° の赤道上なら春分と秋分の二度である。
 ところが、北回帰線上は夏至のときだけで、南回帰線上は冬至のときだけであり、年に一度の方が特殊と言える(数学で言えば、重解となっている)


 「地球を止めて」、つまり、地球から見た太陽の運動を考えたことにより、太陽が真上に来るという状況がグッと把握しやすくなっている。 内容は地学かもしれないが、動いているものから見た相対運動に注目するのは、物理において切れ味鋭い手法 である。

 以上は、言わば 天動説である。 地動説に敗北した見方の方が 理解しやすいこともある、というのは面白い。




inserted by FC2 system